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便箋

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便箋

——メモ—— (2つの言語で書かれている。上にある方の言語は全く分からない。) 君たちの収容施設はなかなか精巧だね。内部からハッキングするのに何年もかかって、やっと脱出できたよ。まあ、気に病むことはない。私はただの小説家だが、多くの星を旅して、サスペンスや推理小説もたくさん読んでいるんだ。多少頭の回転が速くても何も不思議なことはないだろう。 君たちがこのメモを見ているなら安心してくれ。この収容容器は壊していないはずだ。たぶんね。 中に閉じ込められている間、退屈すぎて『少ヴィ憂』の結末まで考えちゃったよ。言わせてもらうけど、君たちのやり方はあんまりじゃないかな。宇宙に普遍的な道徳やルールなんてないとはいえ、問答無用で閉じ込めるなんて、ちょっと理不尽だろう。国境管理の人間とも会わせてくれなかったしね。 それにこっちの原稿料まで受け取ってるのに、今さら不法入国だって?出版社(八重堂だったかな?)も読者を総動員して私を探させてるんじゃないか。 とはいえ、もう何年も経ってるし、結末なんて誰も気にしてないだろうけどな。 2つの言語(アンドロメダ座帝国の言語と現地語)でメッセージを残すことで、相互に照らし合わせ、言語による齟齬を減らしている。