宇宙ステーション「ヘルタ」の万有応物課はかつて興味深い実験を行った。メビウスの帯の上でスタッフたちは巡狩石に3リルタのベクトルを加え、巡狩石自身を追跡対象とした。このように、この巡狩石は与えられた特定の環境下でのみ永久運動を行う。この実験が引き起こした運命エネルギーの喪失について、万有応物課は気づいていなかったが、小さな現象が彼らの注意を引いた。運命の実行を源とし、永久運動をしていた巡狩石の速度は緩慢だったが、確実に少しずつ加速しているのだ。この原理を応用して、万有応物課のスタッフはトポロジーアクセルベルトを開発したが、今のところフィットネス以外の用途は見つかっていない。

「仮にこれを大量に生産したら、運命のエネルギーを全て使い切ることはできるのだろうか？」
「さあ……？運命の原理についての謎はまだ多い」