二色の花弁が絡み合った花。きわめて強いクーヴァキとの親和性を持っている。その淡く上品な香りと鮮やかな色彩から、上質な天然染料として重宝されている。
異なる二色は、二種のクーヴァキの象徴とされており、しばしば「霜月の子」の信徒たちは宿影花を「月の少女の祝福」と見なしている。
五百年前に起こった漆黒の災厄——その終結から数十年後、詠月使の死と共にこの奇妙な花は大地に現れたと語られている。霜月の子の詩歌の多くは、この説を採用しているが、厳密な検証がなされたことはない。