「召使」との決闘を終えた後、廃墟で拾った灯燭。
伝説では、赤月王朝の古き儀式において、選ばれし孤児たちは灯燭を持ちながら、一人で長いトンネルを潜り抜けなければならない。蠟燭の火が消えたその時こそ、彼らが新生を迎える時なのである。そして黒い日が地下王国を照らす時代になって、罪人の手で燭火が揺らめくと、その光は影となり、足音と殺意を覆い隠すそうだ。
どのような材料で作られたのか分からないが、燃えても蝋涙はなく、黒い灰だけが風の中に散って、誰も知らない彼方へと消えていく。